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◆田舎で生活10年目!◆

もう僕が都会で生きていくことはムリだと思います。

迷い家(マヨヒガ)の話

雑記 不思議な話

こんばんは。

今日の飛騨地方、雪ではなく雨でした。

全国各地で春一番が吹いたこともあり、上空には暖かい空気が流れ込んだようです。

今日の午後は、雪ではなく「霧による真っ白な世界」でした。

なんとも幻想的でしょ。

(撮ってくれたS君に感謝)


こんな日は昔の不思議体験の話。

●なかなか好評だった前回の不思議な話はコチラ↓●

www.amagodon.net

基地は「大人」の目をまぬがれた世界

男の子であれば、幼少期に一度は経験した遊び。

それが「基地作り」ではないでしょうか。

千葉の田舎で育った僕も例外ではなく、近所のガキンチョ達で作った基地が幾つかあったのでした。

それぞれの基地には子供だけの通称があり、

山の基地が「ヤキ」、森の基地が「モキ」、草原の基地が「ソキ」

という衝撃的に安直なコードネームまでありました(笑)

それはそれで楽しかったものです。


その内の「モキ」が今回のお話の舞台。


僕はある日、頑丈なロープを手に入れた

基地には様々なものが必要となります。

腰を下ろして休憩するためのベンチや丸太、

有事の際(笑)に備えた武器(笑)


そして、モキにはなぜかブランコがありました。

それは兄が高い木に掛けてくれたもので、そのブランコは振り幅も大きく、まるで空を飛んでいるような気持ちにさせてくれる楽しいものでした。

ただ、そのロープは少し傷んでいて、

これはいつか切れてしまうだろうなぁ…と気にしていたある日のこと。

・・・

今となっては当時の面影もないのですが、

基地を作った山の麓には、どこかの建設会社の倉庫がありました。

ある日、倉庫に目をやると、真新しいロープの束が落ちていました。

僕は高鳴る胸を抑えつつ、そのロープを手にすると一目散に基地に走りました。


「これでブランコが生き返るぞ!」


人様のモノに手をかける罪悪感。

でもそれ以上に、次に皆がモキに来た時、ロープが真新しくなっていたらさぞ驚くだろうという、「サプライズを仕掛ける側」のくすぐったいような気持ち。

(工場の方、本当にすみませんでしたm(_ _)m)


僕は、モキへと続く雑木林の中をどんどんと進みました。


モキが見当たらない


おかしいな…。


本当ならば雑木林に入って数分でモキに着くところが、なかなか辿り着かない。

目印であるブランコが一向に見えてこない。

普段、人が立ち寄らない森の中。



ずぶ…ずぶ…


足元の土は腐葉土のようにフカフカしていて、

家に帰ると靴も靴下も泥だらけになってしまい、よく注意されたものでした。


「あ~また怒られるなぁ…」


足元を気にしながら歩き続けます。



・・・

やっぱりおかしい…

絶対こんなに遠くないはずなのに。



もうすぐキンコン(夕方のチャイム)鳴るし、もう帰るか…。



ふと顔を上げると、


そこにはもう自分の来た道の形跡すらなく、


見知らぬ森の景色にポツンと佇む自分。




じわじわと不安感が襲います。





どうしよう…。




ふと左側に目を向けると


そこには


見た事もない家がありました。




「あれ?こんな家あった?」


道に迷ったことを実感し、あたりを見回した時にも何もなかったのに。



自分からほんの10mほど先の場所に、


古びた家が建っていたのです。



僕の家は田舎の小さな集落に位置しており、

ご近所は大体、顔見知りの人の家です。

名字だって、ほとんどの家が同じ。

だからきっと、その家の人も見たことあるだろう。



藁にもすがる思いで、玄関を叩きます。


「誰かいませんかぁ…?」


優しそうな老夫婦

「はあい」

中から出てきたのは優しそうなおばあちゃん。

そして、後からおじいさんも出てきました。


「あの…たぶん道に迷っちゃったんですけど…」


「あれ、●●●(うちの屋号)んとこの子だ」


「あ、はい!」


やっぱりうちのことも知ってる。

良かった。

おかしな家じゃなかった…。



「そーんなに大汗かいて。ほら、こっちこぉ。中でお茶でも飲みな」

「…あ、ありがとうございます」


知らない人の家に上がるのはちょっとドキドキしたが、土間を上がり、廊下の奥へと進みます。

右手には畳敷きの8畳くらい部屋。

日が傾きつつあることもあって、やや薄暗くなってきていました。


おじいさんが突き当たりの引き戸を開けると、さっきよりやや狭い和室にちゃぶ台があって、

コップがはじめから三つ並んでいました。


おばあちゃんがビンに入った麦茶を持ってきてくれて、3人でちゃぶ台を囲みます。


ちょっとぬるい麦茶だったけど、飲んだら気持ちが落ち着いたのを覚えています。


「家に戻りたいんだけど、どう行けばいいかわからないんです」

「そらぁおいねえ。おらがほうはおめらいがとは反対だしな。ここをまっすぐ行けばけえれるぞ」

窓の向こうを指さす方には、たしかに道があった。


「…ほんとに?」

だって、ここまで来るのにずいぶん長いこと歩いたのです。

でも、早く帰りたかったし、なんだか今すぐ行かないと

その道も無くなってしまうような気がして、すぐに出発することにしました。


玄関まで見送ってくれました

「山はあむねぇから一人で来ちゃなんねぇよ、今回はおらがほうを通ってくれたからやぁったけど。」


「はい」


「ここをずっとやったとこに、小さな木が倒れてっから気ぃつけてな。まあ、おっぺせば通れるわ」


「ありがとうございました」


・・・

「…あ」

言われた道を進むと、本当にあっという間に、知っている道に出ました。

さっきまで日が暮れそうな空だったはずなのに、鬱蒼とした森の中から開けた道に出たせいなのか、まだまだ日は高かったのを覚えています。

なんだか怖くなって、すぐに家に帰り、ババにその話をしました。


謎の「邪気払い」

「それはもしかしたらムジナかもしれねぇな」

「ムジナ?」

「おじいさんも昔、化かされたことがあるってそってた(=言ってた)からな」

「麦茶出してくれたけど、ムジナも飲むの?」

「おっかしなもん飲まされたかもしれねぇし、これを飲んどけ」


それは床の間にいつも置いてあった、謎の水。


僕の家は「真言宗」の智山派という宗派なのですが、

それに加えて、東北にある「出羽三山」への山岳信仰の系統もあるそうで、

父も祖父も、若い頃に白装束を着て山を登る修験道の経験がありました。

(僕らも幼い頃に三つの山には登りましたが、修験道の方は何ひとつやっていません)


そして、その水がおっそろしくクサイ。

なんでもその水は大変ありがたい出羽三山の水で、「決して腐らない」んだとか。

でもコップに注がれたそれは、傷むとか傷まないとかそんなレベルのものではなく、

とにかくとんでもないニオイと、色も茶色く濁っていました。


「…これ飲むの?」(*_*)

「そうだ。飲み終わったら今日のことはヨソでべらべらそっちゃなんねぇぞ」



そして翌日、ものすごいお腹を壊しました(*_*)


それからもモキには行った

このことは家族には話しました。

「もう山には行くな」と言われましたが、兄弟や他の子が行くので、僕も行ってました。

弟なんて「僕も行きたい」と言う始末。

でもその後、とうとう一度もその家を見ることはありませんでした。

(弟はこの話そのものを覚えていなかったです)


その後、オトナになってから「グーグルマップ」という便利なものが登場し、

僕が辿り着いたであろう場所を探ってみたのですが、

やはりそんなものはどこにもなく、ただただ森が広がるばかりでした。




柳田国男「遠野物語」に登場するマヨヒガ

かの有名な「遠野物語」に、今回のような「山中の幻の家」が登場します。

そして、家具や什器などをひとつ持ち帰ることが出来て、

やがて「訪れたものに幸福をもたらす」といいます。


遠野物語、この時に読んでたらなぁ~(笑)

また行ってみたいなぁと思いますが、きっと僕はもう行けないと思います。



今日のような霧の立ち込める日。

山の独り歩きにはどうぞお気を付けください。


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