漂流の記録3 ダメ男、住み着くことにする

朝、目が覚めると外は快晴。

ふらりとお散歩です。

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畑のあぜ道。

神社の森。

野菜の無人販売所。

一日3本しか来ないバス停。

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頭の中では自然と、井上陽水の「少年時代」が流れていました。

 

 

友人はこの集落の中にある道の駅で働いていたので、散歩がてら見学へ。

とても立派な建物で、「さぞ景気の良かった頃に建てたんだろうなぁ」と勝手に想像し、

「今は当時ほどの活気はないんだろうなぁ…」と勝手に感傷的に。

 

とても余計なお世話です。

 

敷地内にはイカしたペンションもあって、そこに立ち寄ると

中からスラッと背の高い、ハーフのようなイケメン男性が出てきてました。

 

イケメン「いやぁ、遠くからよく来てくれました」

「あ、どうも、こんにちわ…(誰?)」

イ「支配人をしている○○です。ここは良いところでしょう?」

「あ、はじめまして…。本当ですね。すごく感動しました。」

イ「で、いつから大丈夫?」

「え?いつ?あ、えーと今日高山に戻って、白川郷とかそのへんを見て帰ります」

イ「いや、いつからシフト入れる?」

「ん?僕がですか?」

イ「面接受けに来てくれたんでしょ?」

 

知りません。

 

僕は友達に会いに来ただけです。

だってほら、フツーこんなくたくたのシャツを着て、面接に来ないでしょ?

 

イ「昨日、●●(友人の名前)の家に泊ったんでしょ?

あそこ、市営住宅だから一か月の家賃8500円だよ。

今なら空室もあるし、ほかの連中も同世代だよ。」

 

な、な、なんと。

 

キッチン・ロフト付き8畳の洋室+トイレ風呂別の部屋が

一か月の家賃、なんと1万円以下でした。

 

これはとても魅力的でした。

 

 

ど阿呆の頭に転がっていた情報のひとつとして、

 

・ド田舎から都会に出ていくことは出来る。

 

ただし

 

・都会からド田舎へ来る機会はそう無い、ということ。

 

ポイントは「田舎」ではなく「ド田舎」ってとこ。

なぜなら限界集落と呼ばれるド田舎は産業がありません。

よそものがふらっと来てもお金を稼ぐことができません。

お金を稼ぐことができないので住む家やアパートもありません。

 

…これはチャンスなのではなかろうか。

 

僕は、もう都会は嫌だ。

最低限の生活をするにもお金はどんどん出て行ってしまうし、

新宿でどう見ても死にかけているホームレスの脇をサラリーマンやOLが平然と通り過ぎていく街の光景。

 

かといって、僕自身も何をするでもなく、見て見ぬふり…。

そんなところから離れたい!

 

 

とまあ、そんなゴタクを並べてはみたけれど、

結局は何一つ一生懸命にもならず、

やりたいことが見つからないとかなんとかほざいて、

本来なら社会に出て揉まれることから逃げていたのです。

 

きっと、今回の話を聞いた時も、

内心ではどこか「どうせ田舎の気楽な仕事だろう…。平日は客も来なくて休めちゃったりして。それでぼちぼちお金貰えるならバッチリ」なんて思っていたかもしれません。

 

 

よーし。

 

住んじゃえ。

 

こうしてダメ男はなんの覚悟もなく、家族に相談するでもなく、ひとり勝手に飛騨への引っ越しを決めてしまったのでした。

 

 

つづく