朝、目が覚めると外は快晴。
ふらりとお散歩です。
畑のあぜ道。
神社の森。
野菜の無人販売所。
一日3本しか来ないバス停。
頭の中では自然と、井上陽水の「少年時代」が流れていました。
友人はこの集落の中にある道の駅で働いていたので、散歩がてら見学へ。
とても立派な建物で、「さぞ景気の良かった頃に建てたんだろうなぁ」と勝手に想像し、
「今は当時ほどの活気はないんだろうなぁ…」と勝手に感傷的に。
とても余計なお世話です。
敷地内にはイカしたペンションもあって、そこに立ち寄ると
中からスラッと背の高い、ハーフのようなイケメン男性が出てきてました。
イケメン「いやぁ、遠くからよく来てくれました」
「あ、どうも、こんにちわ…(誰?)」
イ「支配人をしている○○です。ここは良いところでしょう?」
「あ、はじめまして…。本当ですね。すごく感動しました。」
イ「で、いつから大丈夫?」
「え?いつ?あ、えーと今日高山に戻って、白川郷とかそのへんを見て帰ります」
イ「いや、いつからシフト入れる?」
「ん?僕がですか?」
イ「面接受けに来てくれたんでしょ?」
知りません。
僕は友達に会いに来ただけです。
だってほら、フツーこんなくたくたのシャツを着て、面接に来ないでしょ?
イ「昨日、●●(友人の名前)の家に泊ったんでしょ?
あそこ、市営住宅だから一か月の家賃8500円だよ。
今なら空室もあるし、ほかの連中も同世代だよ。」
な、な、なんと。
キッチン・ロフト付き8畳の洋室+トイレ風呂別の部屋が
一か月の家賃、なんと1万円以下でした。
これはとても魅力的でした。
ど阿呆の頭に転がっていた情報のひとつとして、
・ド田舎から都会に出ていくことは出来る。
ただし
・都会からド田舎へ来る機会はそう無い、ということ。
ポイントは「田舎」ではなく「ド田舎」ってとこ。
なぜなら限界集落と呼ばれるド田舎は産業がありません。
よそものがふらっと来てもお金を稼ぐことができません。
お金を稼ぐことができないので住む家やアパートもありません。
…これはチャンスなのではなかろうか。
僕は、もう都会は嫌だ。
最低限の生活をするにもお金はどんどん出て行ってしまうし、
新宿でどう見ても死にかけているホームレスの脇をサラリーマンやOLが平然と通り過ぎていく街の光景。
かといって、僕自身も何をするでもなく、見て見ぬふり…。
そんなところから離れたい!
とまあ、そんなゴタクを並べてはみたけれど、
結局は何一つ一生懸命にもならず、
やりたいことが見つからないとかなんとかほざいて、
本来なら社会に出て揉まれることから逃げていたのです。
きっと、今回の話を聞いた時も、
内心ではどこか「どうせ田舎の気楽な仕事だろう…。平日は客も来なくて休めちゃったりして。それでぼちぼちお金貰えるならバッチリ」なんて思っていたかもしれません。
よーし。
住んじゃえ。
こうしてダメ男はなんの覚悟もなく、家族に相談するでもなく、ひとり勝手に飛騨への引っ越しを決めてしまったのでした。
つづく