久しぶりのベニシアさんの近影
放送が始まって早12年。
僕が飛騨の山奥に来て3年目の春、この番組の放送が始まりました。
京都大原に建つ築100年の古民家で野菜やガーデニング、ハーブを育て、周囲の物や人との繋がりを大切にし、自然体で生きるベニシアさんに、これはなんとも素晴らしい人生だ…と思ったものです。
スタート当初は50代だったベニシアさんも70歳を過ぎ、ここ数年で体調を崩されたようで…
視力の衰えや、心や体、記憶力といったものが思うように働かなくなってきているとのことでした。
あんなに明るく快活だったベニシアさんの表情は固く、気持ちも少し塞ぎ込んでいるようにも見受けられ…
それが数年前の放送でしたから、近頃はどうされているんだろうと気になっていたところでの今回の放送でした。
今回の放送を見て
そろそろ人生の幕引きを意識しはじめる年代。
そんな年齢の人たちの本音や胸中。
それを知るすべは、僕にはまだありません。
年齢とともに自分の心身が衰えていくこと。
それまで元気だったものが元気でなくなること。
現実味のあるイメージは出来ずとも、考えただけでもつらく、悲しい気持ちになってきます。
老いていくことは寂しいことだけじゃない、よね?
番組の中で、ベニシアさんは遠く離れた親類たちとテレビ電話をします。
妹さんに「最近はどう?」と問われると、「体が思うように動かないから庭仕事などは難しいわ」と。
「でも、何かをしようとすれば必ず誰かが助けてくれて、たくさんの人が気にかけてくれる。私のことを覚えていてくれる。それが本当に幸せよ」と微笑んでいました。
以前のような元気いっぱいの笑顔とは違い、静かで穏やかなスマイルでした。
その言葉は自分自身を鼓舞する意味もありつつ、あれはきっとベニシアさんの本音なんだろうなぁ。
自分の人生を生き、ある日それらを振り返った時に「幸せ」と言えること。
それはきっと本当に素敵な人生。
これまで色んなことがあったことでしょう。
叶うものならばやり直したいことも、耐え難いほどの悲しみに伏せたこともあるはず。
でも「今が幸せ」といえたなら、それはきっと幸せな人生を歩めたということなんですよね。
youtubeでベニシアさんのインタビューがアップされていました
ご本人としても勇気のいるであろう、かなり腹を割ったお話をされています。
でもそれらの根底には、しっかり前を向いた判断をされているようでした。
不思議な副音声?やインタビュアーの話の持っていき方に若干「ん?」と思うところもありましたが、ベニシアさんの胸中を聞くことができます。
率直な価値観になるほどと思えます。
大事なものに寄り添って生きる
あまりネタバレもよくないのですが、ベニシアさんは介護施設に入所されることを選んだようです。
「大切だから一緒にいたい」
「大事に思っているからこそ離れる」
行動としては真逆ですが、元にある思いは同じ。
本当は大切なものはずっとそばに置いておきたいし、大事な人とはずっと一緒にいたいもの。
でもそれは人間が生きる以上、土台無理な話で、いつかお別れも来るし、物事には終わりもある。
だからその時が来たら「ありがとう」といえるようでありたいのです。
次回はあるのかな?
動画の中で、NHKの撮影が来ることに「もうよく分からないのだけど」と言っていたベニシアさん。
もしかたら「猫のしっぽ、カエルの手」もこれが最終回になるのかもしれません。
そもそもこの番組は、ベニシアさんの生涯を追うことではなく、自然に寄り添い、ベニシア流の手づくり暮らしを紹介するものですから。
個人的な思いとしては、たとえ次回があってもなくてもそこに最終回とはいわず、これからも静かに静かに心穏やかな日々を送っていただけたらと思います。
なんだかとても心に残ったので今回ちょっとブログにしてみました。